炭鉱ではランプが爆発事故の引き金になる危険がある、
ということでランプの管理は厳密に行われていました。
ランプを持ち出すときは、どのランプを持ち出したのか
きちんと記録を取ることになっていたのですが、亡くなった
ペロのそばにあった、爆発の原因となったランプは
全く別の作業をしていたポトのものでした。そしてペロの
ランプはポトのそばにあったのです。
これらの事実は爆発とどう結びつくのでしょうか。
ポアンカレはこれらの事実をつなぎ合わせさまざまな
可能性を考え、それを論理的に考察してゆくことによって
爆発の原因を突き止めてゆきます。
このあたりの話をあまり詳しくすると、出版社への営業妨害
になる可能性があるので、具体的な話はもうやめておこう
と思いますが、最終的にこの報告書では、この爆発が様々
な偶然が重なったことに、ペロのほんの一瞬の不注意が
重なって起きたのだということを明らかにしています。
この報告書は 科学者らしく淡々と書かれていますが、
全体からはポアンカレの思いやりが感じられるもので
あった(ペロを非難するような調子でもなかったし、また
残された未亡人、遺児に対する緊急援助についても
しっかりと言及している)ということです。ただ客観的な
事実を言及するあたって決定的に抜けていたのは、
二次爆発の危険がある坑道にはいり、詳細な調査を
行ったポアンカレ自身の行動について一切記載されて
いない、ということです。