間もなく今の学年が終わりとなります。
皆さんにとってこの一年はどんな一年だったでしょうか?・・・このように聞かれた時に、当然皆さんはコロナのことを思い出すと思います。
実際世の中ではこの三年間ずっと新型コロナウイルス感染症に振り回されてきました。
今から三年前のちょうど今頃、日本に入ってきたコロナがどんどん広がっているところでした。またテレビなどで次々とコロナにかかった人が亡くなるといったことが放映されていました。その時は
「コロナにかかる人はものすごい速さで増えていっているのに、どんな治療をしたら良いのかわからない」
ということで先生はとても不安な気持ちでした。他の人たちもきっと同じような気持ちだったと思います。4月には、緊急事態宣言と言って大阪・京都・兵庫などに住む人たちはできるだけ家から出ないようにと政府からお願いがありました。
皆さんも、4月に新しい学年が始まったのにすぐ学校や幼稚園・保育園に行けなくなり、オンラインで授業を受けないといけなくなりました。運動会や遠足などの行事もなくなり、友達と一緒に遊ぶこともできなくなりました。それでも、なんとか5月の終わりには、少しずつ外に出ていくことができるようになりましたが、コロナは完全に無くなることはなく、その後も何度も何度も流行を繰り返しそのたびに学校はお休みになりました。日本だけではなく世界全体が沈んだ気持ちになっていたといえるでしょう。
しかし、そのような中、希望を感じさせてくれることもありました。先生が感じた一番大きな嬉しい驚きの一つはコロナワクチンの開発です。
ワクチンの開発というのはとても手間と時間がかかる仕事で、普通は3年、どんなに急いでも2年はかかるだろうと言われていました。これではとても間に合わない、と思っていました。しかし実際には一年も経たずワクチンが完成してアメリカで接種が始まり、その後に日本でもワクチン接種がはじましました。なぜこんなことができたかと言うと、その理由はmRNAワクチンというこれまでにない新しいワクチンの技術を使ったからです。
さて今日は、この mRNAワクチンの研究と開発を行った究者のお話をしたいと思います。
このmRNAワクチンの研究をしたのカタリン・カリコ博士というハンガリー生まれの女性科学者です。博士は親の精肉店を営んでいてあまり豊かでありませんでした。大学を出たあと地元の研究機関で研究員として働きましたが、研究所からお金を出してもらえなくなったことからハンガリーでは暮らしていけなくなり。1985年博士が30歳のとき、夫と当時2歳の娘さんの3人で研究するためにアメリカに渡りました。当時ハンガリーはお金を自由に持ち出すことができなかったため、カリコ博士は娘さんのぬいぐるみの中に900ポンド(多分日本円で20万円もないと思います)、これが博士のお家の全財産でした、を隠してアメリカに持ち込んだということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-situation/still/hungary_06.jpg
しかしアメリカに渡っても博士の研究は決して順調ではありませんでした。mRNAをワクチンとして使うには色々都合の悪い性質があったのです。博士はそのような悪い性質をなくすためにはどうすれば良いのか研究を進めていました。博士の研究のおかげで、少しずつmRNAをワクチンとして使うための方法がわかっていきます。しかしその研究はなかなか認めてもらえなかったんです。ついには大学から研究費ももらえなくなってしまい大学をやめなければならなかったのです。しかし博士は諦めず薬の研究をする会社で研究を続けました。
このようにmRNAには技術的に難しいところもありがましたが、いいところもありました。ワクチンを作るのにウイルスそのものを使わず、遺伝子のデータさえあれば、短い時間でワクチンをつくれるのです。これが、今回1年もかからずワクチンを作ることができた理由です。カリコ博士の研究はコロナに限らずこれからの私たちの健康にとって大きな役割をはたしてくれるだろうと言われています。このような大きな貢献をしたカリコ博士は今年のノーベル賞を取るかもしれない、と噂されています。先生も10月のノーベル賞の発表を楽しみにしてます。
このようにどんなに苦しくても自分の研究を続けたカリコ博士は素晴らしい人だと思います。それにつけたして先生はカリコ博士についてこれとは別のことで素晴らしい人だと思いました。今日はそのお話もしてみたいと思います。
博士はインタビューの中で
「コロナとの戦いでの本当のヒーローは、コロナ患者の看病をした人や街や建物の掃除をした人だ」
と言われていました。これはどういう意味なのでしょうか。少し説明しますね。
皆さんはエッセンシャルワーカーという言葉を知っていますか・・・あまり聞いたことのある人はいないようですね。エッセンシャルという言葉は「本当に大切な」という意味でワーカーというのは「仕事をする人」という意味です。「本当に大切な仕事をしているひと」とはどんな人だと思いますか?皆さん想像できますか?
例えば皆さんはが家にこもってオンラインの授業を受けている時も、皆さんが食べる肉や野菜を加工する人や生活に必要なものを運んでいるトラックの運転手といった人たちは休むことができません。エッセンシャルワーカーというのはこのような人たちのことを言うのです。そしてヨーロッパではこのような肉の加工をしている人たちの中からコロナに感染した人がたくさん出ました。日本では、トラックの運転手さんたちに心無い言葉を投げかける人がいたりもしました。今は、肉の加工をしてくれた人や運転手さんたちの活動がどんなに勇気あるものだったのかわかる気がします。
ところでカリコ博士のおうちは、どんな仕事をしていたか覚えていますか?・・・そう肉屋さんでしたよね。博士の心の中にはこのような人たちに対する、気持ちが自然に浮かんできたのだと思います。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-situation/still/hungary_03.jpg
コロナは、大きな災害でした。まだ終わったわけではありませんが先生はコロナを通してエッセンシャルワーカーという大切なものについて学べたような気がします。そしてこのような学びをいろいろな事を考えるための参考にしたい、と思っています。コロナという災害を通して学べることはもっともっとたくさんあります。皆さんも是非とも考えてみてもらいたいな、と思います。
さて春休みが始まります。この休みの期間、皆さんがこのようなことを考えるためのきっかけになったらいいな、と思っています。
