2012年9月28日金曜日

今日はコロキウム

「数学の魅力とはなんですか?」
「何のために数学を勉強するのですか?」

という質問を受けることが有ります。

この質問には、色んな意味があって一般的に
答えるのは難しいのですが、あえて一つだけ
答えを揚げるとすると

「数学は、心の自由を獲得するための力に
なるのです」

と言いたいと思います。

2012年9月27日木曜日

ウォークアロンググライダーで宙返り

「ウォークアロンググライダーで宙返りが出来るか」
という考えが突然浮かんできました。
常識的に考えるととても出来る気はしないのですが、
そこで思考停止しては何も始まらない・・・
ちょっとしたパズルのようなものだと思って取り組むと
案外、突破口があるかも・・・

2012年9月26日水曜日

理科の教材

ウォークアロンググライダーにしてもダイナミックソアリングにしても
むかしはこのようなものを作るための材料は手に入らなかった、
もしくは非常に高価であったために子供たち向けの講座で
実施するのはほとんど不可能であったと思います。

ちょっと見回してみると、私たちの周りにはむかしには
とても手に入らなかったような、素材が溢れています。

昔は、プリミティブでその原理がわかるようなおもちゃが
たくさんあって、子供たちの科学する心を刺激してくれていたが
最近の、出来上がったおもちゃで遊ぶだけで、そこに隠れている
原理などを知ることができなくなってきている。
これが、子供たちの理系離れの原因になっているのではないか、
・・・という意見を聞くことが有ります。

思うに、理科に興味を持ってもらうための教材(プリミティブな
おもちゃ)は、新しい素材を利用してやることにより、これまでの
ものとは全くちがうものが出来るのではないでしょうか。

2012年9月24日月曜日

ダイナミックソアリング

グライダーの世界でウォークアロンググライダーとは真逆の
遊び方としてダイナミックソアリングという飛行方法があります。
普通のグライダーはスロープソアリングと言って、斜面に向かって
風が吹きつけているときに生じる上昇気流に乗って長時間フライトします。

いま山に向かって風が吹きつけているとします。この時山の風上に
向かった側では、上に書いたように、上昇気流が生じるわけですがその
反対の側には下降気流が生じています。ここにグライダーを入れることは
普通は絶対にしていけないのですが、ダイナミックソアリングでは
あえてここにグライダーを入れて、巧みなコースを飛行させて
やることによりグライダーを加速させてやるのです。
うまくいくと風速をはるかに超える速度まで加速することができます。

YouTubeに時速446マイル(= 約 710km/h)まで加速した模型グライダー
の映像があげられていました。さすがにこの速度になると、飛行機の
姿は殆ど見えません。

http://www.youtube.com/watch?v=ByOB4luuvy4

「この仕組は、風力を効率よくエネルギーに変える方法に応用できないか」
というアイディアをずっと持っているのですが、・・・
誰か取り組んでみませんか。

*ダイナミックソアリングについては例えば

http://xoomer.virgilio.it/ocapofer/Dynamic-eng.htm

に解説が載っています。

2012年9月23日日曜日

ウォークアロンググライダー(2)

実は,先週東京のあるメジャーなテレビ局の番組を制作している
会社のスタッフの方から,「番組の中でウォークアロンググライダー
について取り扱いたいのだが,・・・」という連絡がありました.

解説の文章,写真や動画を作成してメールで送ったりといろいろやりとり
して場合によっては私も撮影に参加するかも,という話になっていた
のですが,結局今回はウォークアロンググライダーを取り扱うのは
中止となりました.残念.

せっかくなので一連のやり取りのデータを置いておきます.











2012年9月17日月曜日

ウォークアロンググライダー

小学生向けの科学講座で「空気と遊ぼう」という
内容をすることが有ります。ここでは空気砲や、
室内凧等の工作をしながら空気の性質について
学ぶのですが、最後にウォークアロンググライダー
という室内で飛ばす飛行機を作ります。
一枚の板を体の前に立てて前進することで
できる空気の動きを利用して、動力のない
小さな飛行機をとばす、というもので、
実際に飛んでいる姿を見るとちょっと不思議
な感覚です。

ウォークアロンググライダーの考案者は
タイラー・マクレディーという方(初めて
ドーバー海峡を横断した人力飛行機
ゴッサマーコンドルの製作者ポール=マクレディーの息子)
だそうで、父親の人力飛行機の制作の手伝い合間に思い
ついたそうです。
このあたりの事情については

http://www.visualecture.com/wordpress/?p=1091

にご本人の講演があります。(ビデオの18:00あたりから
ウォークアロンググライダーの説明があります。)

ウォークアロンググライダーの原理に関してはyoutube
の動画

http://www.youtube.com/watch?v=jnwc0meV3SI

の2:30辺りから解説されています。
一言で言うと、立てたボードの上にできる
空気のクッションの上にサーフィンの要領
で飛行機が乗っている、
という感じです。

なお、上記の動画はシリーズになっていまして

http://www.youtube.com/watch?v=EGx9FdNZd1w&feature=relmfu
(作り方の解説)

http://www.youtube.com/watch?v=62gKLPUnTsQ&feature=relmfu
(作り方と調整の解説)

http://www.youtube.com/watch?v=7d80Mn8Rtik&feature=relmfu
(飛ばし方、特にここの1:10あたりから
ご覧ください。ボードは、なるべく立てた
ほうがよい事が説明されています。

2012年9月11日火曜日

あなたは知っていましたか

興味深い動画を見つけました。

http://d.hatena.ne.jp/nishiohirokazu/20090401/1238588872

元データは:

Did You Know ?
http://www.youtube.com/watch?v=cL9Wu2kWwSY


この中の:

2010年に需要のある仕事の上位10位は2004年には
まだ存在していませんでした。
今私たちは学生を教えています。
まだ存在しない仕事に備えて。
・・・

という、くだりにはしびれました。

球面の裏返し

三次元空間内の球面(位相幾何学的な球面で自由に伸ばしたり
縮めたりできるが、穴をあけたり、切ったりつないだりする
ことは出来ない)を

自分自身と交わることを許す、ただし
とんがったところができてはいけない(数学的には「正則
ホモトピー」という言葉で定式化されます)

という条件のもとで、裏返すことができるか?

という問題は、1957年に数学者Smaleによって、その答えが
肯定的である(つまり、そのような変形で裏返すことができる)
ことが示されています。但しSmaleの結果は具体的に、どのように
変形すれば良いのかを示してはくれませんでした。

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現代数学では、このように、「理論的に解けることは分かっているが
その答えが具体的には求まらない」ということが、よく有ります。
ある意味、このような「存在定理を数学的な結果として認める」、
という態度が現代数学を豊かなものにした、と言っても良いと
思います。
======================

これに対して球面の裏返しの仕方を具体的に与えたのが、
数学者のシャピロとモランでした。

その後Thurstonも球面の裏返しに取り組み新しい方法を考案しています。
その内容についてはgeometry center で映像化され、公開されています。

http://www.youtube.com/watch?v=wO61D9x6lNY

最近、数学者の平澤さん達はこの問題に別の観点(球面の
”影”を見ながら裏返す・・・)から取り組んでおられます。
以前、こちらに来ていただいて詳細な内容をお聞きしました。
内容はあまり憶えていなのですが、細部までちゃんと見ると
なかなか膨大な内容で有ることはわかりました。

2012年9月3日月曜日

Thurstonの数学(3)



Thurston自身は子どもがおもちゃで遊ぶことを楽しむように
三次元多様体の研究を楽しむことが第一義であってその結果
を発表すること自体に興味はなかったのでしょう。しかし彼
の示した方向は数学界の指示を得て、2002年にはロシアの数学者
ペレルマンにより幾何化予想はついに解決されます。
(ペレルマンの仕事は、間違いなく超一流のものですが、
私にはThurstonの枠組みの中、という感情がついてまわって
しまいます。)

1990年頃から彼自身は自身の結果やそれまでに知られている
幾何学の結果をコンピュータグラフィック等を用いて一般の
人々に分かりやすく伝える、という仕事に取り組むようになり
ます。

http://www.youtube.com/watch?v=AGLPbSMxSUM
http://www.youtube.com/watch?v=MKwAS5omW_w

また子供向けの数学の講座なども盛んに行うようになります。
20103月にはIssey Miyakeのファッションショー(パリコレ)
に協力しています。(「ポアンカレオデッセイ」)この時の
ショーの様子やThurstonのインタビューが

http://www.youtube.com/watch?v=lMneAQsAZUA&feature=relmfu
http://www.youtube.com/watch?v=eQAuSGvQjN0&feature=youtu.be

で見ることが出来ます。

一般人とのギャップが多くすぎるからでしょうが、天才と呼ばれる
人たちの行き着く先というのは一般的に言うと、あまり幸福なもの
ではないような気がします。Thurstonはそのような並の天才とは
違った境地に至ったように見えます。

2012年9月2日日曜日

Thurstonと数学(2)

プリンストンの高等研究所で行った三次元双極幾何学に
関する連続講義のノートは間違いなく数学史に残る重要な
文献です。

なお、Thurstonの三次元双極幾何学に関する仕事については
彼自身による解説を

http://www.ams.org/journals/bull/1982-06-03/S0273-0979-1982-15003-0/S0273-0979-1982-15003-0.pdf

で見ることができます。ここでは双極構造の変形空間、測地的ラミネーション
などの基本的な道具が準備されているほか、幾何化予想と呼ばれる
主張が提案されこの分野の研究の方向性を決定づけています。

さらにこれらの研究の集大成として三次元多様体の一意化定理
と呼ばれる結果がアナウンスされます。この結果は発表された当時は
「怪物(Monster)」と呼ばれていました。一意化定理に関しては
小島定吉氏による解説(1982年)が

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku1947/34/4/34_4_301/_pdf

にあります。この結果については、Thurston自身による
論文はついに発表されることはありませんでした。

この後Thurstonによって提案されたさまざまな概念に関する
膨大な解説が大勢の数学者によって、論文、講義録等等
様々な形で発表されます。あまり品のない表現ですが、
「たくさんの数学者の飯のタネを提供した」と言えるでしょう。