現在AI(人工知能)が多くの企業を巻き込んだトレンドとなっています。これは2005年にレイ・カーツワイルが「シンギュラリティは近い」という本の中で2045年にはAIの発達はAIの能力が人間を超える(シンギュラリティ)ようになる、と述べたことがその象徴となっているようです.さらに2011年ニューヨーク大学のキャシー・デビッドソンは
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たち(つまり2005年に生まれた子供たち)の65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」 と述べており、これに影響されてAIが普及した時代の教育への対応が現在国を挙げての課題になっています。
しかしいま存在する、いわゆる”AI”はとても知能と言えるものではない、ということが新井紀子氏によって指摘されています。(「AI vs. 教科書が読めない子供たち」)新井紀子氏は現在のAIテクノロジーの限界を「今の”AI”は「意味」を全く理解しない。単に論理、確率、統計を使って問題の答えを推測しているに過ぎない」と看過しており、AIが人間の能力を超えるようなシンギュラリティが現れることは無いだろう、と予言しています
関連した話題ですが、IBMは彼らが開発した”AI”ワトソンのことを人工知能とは呼ばず「拡張知能(augmented intelligence )」と呼んでおり、それがAIではないことを認めています。
しかし、本当のAIではないワトソンも使い方によれば非常に役にたつことが認められています。
また、Google翻訳などのサービスも最近深層学習の手法を用いるようになった事により、かなり満足のいく翻訳がなされるようになってきています。大学の教員の中にはこのような自動翻訳を使うことに眉をひそめる人もいるようですが、個人的には:
これが役に立つのなら、それを正しく使うテクニックを身につけさせることが、少なくとも現時点では、学生にとって有益である
と思っています。もう少し具体的に言うと、Google翻訳の制度がかなり上がったとはいえ、日本語独特の表現(例えば「それでは私の顔が立たない」と言った言い回し)を翻訳させようとしてもそれはうまく行かないでしょう。Google翻訳にかける事前処理として
「それでは私の顔が立たない」と言う表現を「私の意見も尊重してほしい」といった表現に”翻訳”してからGoogle翻訳にかける、という能力(これはまさに今のAIができない能力です)を身につけること
が場合によっては、学生にとって一番有益な学習、となることもあり得ると思います。
そんな”AIが苦手とする力”とは、どんな力なのでしょうか。新井紀子氏によると「それは文章読解能力」ということに なります。私は、それに加えて、最新のAIの能力を発揮させることのできる柔軟な発想力も挙げたいと思います。

