2012年8月31日金曜日

Thurston と数学

Thurstonは大学時代は特に目立ったという所はなく、
またその学位論文も、非常に良い結果ではあるけれど
現代数学の方向性に大きな影響を与えるというレベルの物
では有りませんでした。

現代数学の先頭を切る多くのアメリカ数学者はロシア、
東欧、中国等から移ってきた人々ですが、その中では
珍しく、Turstonはアメリカ育ち(子供の頃はオランダに
いたという話は聞いた覚えは有りますが)です。

ただ、その才能ははっきりと認められていたようで、
カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン大学
等超一流校からオファーが有ったそうで、結局、彼は
プリンストン大学に務めることになります。
プリンストン大学ではまず、学位論文で取り扱った
「葉層構造」と呼ばれる分野で未可決問題
(オイラー標数0の多様体上の葉層構造の存在、
ゴドビィヨン・ベイ不変量の連続性等)を立て続けに
解決します。
もちろんこれは数学にとって良いことなのですが、
この後、多くの葉層構造の研究者が「もうこの分野には
研究すべき問題が残っていない」と感じて、この分野から
さってしまいます。

このことに心を痛めたThurstonは葉層構造の次に
取り組んだ「三次元双曲幾何学」では、明確に
何か問題を解決する、という形ではなく、その分野
に色々な花が咲くことを目指して、大地を耕すような
研究を進める様になります。

2012年8月29日水曜日

Thurston 逝去

数学者William Thurston (1982年フィールズ賞受賞者)が亡くなった
というニュースが届きました。

http://www.math.cornell.edu/News/2012-2013/thurston.html

享年65歳。早過ぎるその死を悼む声が数学界に満ちているよう
に感じられます。
私自身は、直接お話をしたことはほんの数回しか有りませんが
「正真正銘の天才」がどういうものか、思い知らされたというか
とにかく強烈な印象を与えてくれました。

2012年8月16日木曜日

「お盆」を英語で説明すると(6)

ステップ4.
英訳

ステップ3で作った話の流れ

=================================
「家」(「家族」よりはずっと広い意味を持つ)というのは武士の家族
制度に基づく、伝統的家族制度である。ここでは個人より「家」が優先
されており、「家」を引き継ぐことが出来るものはひとりだけでその者は
「家」のメンバーに対して絶対的な権力を持っていた。
この制度は戦後になくなったが、現在で「お盆」と呼ばれる期間にその名残を
見ることができる。

お盆とは
・先祖や亡くなった人たちが苦しむことなく、成仏してくれるようにと、子孫が、報恩や追善の供養をする期間
のことで
・関西では8月の13日から16日までの4日間を指すことが多い
この期間は、公的な祝日ではないが、
・8月15日前後は平日であってもかなりの人が休日になる全国的に大多数の人が墓参りをする
・12日夕刻か13日午前中に盆堤灯に火を灯す。迎え火
・16日(又は15日)に送り火。
と呼ばれる行事が行われる(地方によって形は様々である)。
「家」というのは伝統的な日本の生活の中
では重要な社会的単位とみなされてきたが、現在の日本では「家」というつながりは
次第に弱くなってきている。しかしながら、お盆の期間に親戚が一同に集まって、
迎え火等の行事に参加することによって、家のつながりを確認することができる。
お盆は日本の伝統を感じさせてくれる数少ない行事のひとつと言える。
===================================

を英訳します。但しここでは英語の講義をするつもりは有りません。
いかに英訳の壁を低くするか、特にいかにうまく翻訳サイトを利用するか、という
事について考えてみたいと思います。

インターネット上には無料の翻訳サイトが色々とあります。
例えば

エキサイト翻訳
http://www.excite.co.jp/world/

google翻訳
http://translate.google.co.jp/

などです。ところで昨年の夏の本校の国際行事でも本校の生徒がまとめの時に
これを使って英訳をしようしていたようですが
残念ながら、日本語を単純に翻訳させただけではほとんど使い物になりません。

例えばgoogle翻訳で

「家」(「家族」よりはずっと広い意味を持つ)というのは武士の家族
制度に基づく、伝統的家族制度である。

を訳してみると

"House" (from "family" has a much wider sense) that it is a family of samurai
Based on the system, which is the traditional family system.

となります。それらしい文章ではあるけれど例えば「家」を"House" 
と訳している時点で使い物にならないことがわかります。


2012年8月14日火曜日

「お盆」を英語で説明すると(5)

ステップ3(続き).

一回文章を書いたら流れを確認する。今書いた文章を
読みなおして文章の流れが自然か(頭の中にすっとはいって
くるか)確認します。
ここでは「家」の説明を先頭に持ってくることにします。
具体的には次のようになります。

=================================
「家」(「家族」よりはずっと広い意味を持つ)というのは武士の家族
制度に基づく、伝統的家族制度である。ここでは個人より「家」が優先
されており、「家」を引き継ぐことが出来るものはひとりだけでその者は
「家」のメンバーに対して絶対的な権力を持っていた。
この制度は戦後になくなったが、現在で「お盆」と呼ばれる期間にその名残を
見ることができる。

お盆とは
・先祖や亡くなった人たちが苦しむことなく、成仏してくれるようにと、子孫が、報恩や追善の供養をする期間
のことで
・関西では8月の13日から16日までの4日間を指すことが多い
この期間は、公的な祝日ではないが、
・8月15日前後は平日であってもかなりの人が休日になる全国的に大多数の人が墓参りをする
・12日夕刻か13日午前中に盆堤灯に火を灯す。迎え火
・16日(又は15日)に送り火。
と呼ばれる行事が行われる(地方によって形は様々である)。
「家」というのは伝統的な日本の生活の中
では重要な社会的単位とみなされてきたが、現在の日本では「家」というつながりは
次第に弱くなってきている。しかしながら、お盆の期間に親戚が一同に集まって、
迎え火等の行事に参加することによって、家のつながりを確認することができる。
お盆は日本の伝統を感じさせてくれる数少ない行事のひとつと言える。
===================================

これで一応論理的まとまりのある文章ができました。日本語の不自然なところ
や、表現を改めてゆけば、日本語の説明文が出来ることになります。
今回の目的は英語での説明ですので、日本語のほうを磨くのはもう
やめにして、英訳にかかることにします。


2012年8月13日月曜日

「お盆」を英語で説明すると(4)


ステップ3

ストーリーを組み立てる。
ステップ1で作ったリストの事実を積み上げていって、
ステップ2の伝えたいメッセージを導くためのストーリーを考えます。
例えば次のようなストーリーを考えたとします。
(私の文章は全然ひねりのない一本道のものがほとんどです。
あまり面白みは無いのですが研究費の申請等では、やはり
凝ったひねりは入れないほうが良いように思います。)

お盆というのは

先祖や亡くなった人たちが苦しむことなく、成仏してくれるようにと、子孫が、報恩や追善の供養をする期間
のことで
関西では8月の13日から16日までの4日間を指すことが多い
この期間は、公的な祝日ではないが、
8月15日前後は平日であってもかなりの人が休日になる全国的に大多数の人が墓参りをする
12日夕刻か13日午前中に盆堤灯に火を灯す迎え火
16日(又は15日)に送り火。京都の夜を美しく彩る大文字焼はこの送り火の名残。送り火
「家」(「家族」よりはずっと広い意味を持つ)というのは伝統的な日本の生活の中では
重要な社会的単位とみなされてきたが、現在の日本では「家」というつながりは次第に
弱くなってきている。しかしながら、お盆の期間に親戚が一同に集まって、
迎え火等の行事に参加することによって、家のつながりを確認することができる。
そういう意味でお盆は日本の伝統を感じさせてくれる数少ない行事のひとつと言える。


ここまで まとめてきたところ、どうも「家族」と「家」の違いを説明する
必要があるようです。そこでまた「家」に関する情報を集めることにします。

ウィキペディアには

家制度(いえせいど)とは、1898年明治31年)に制定された民法において規定された日本家族制度であり、親族関係を有する者のうち更に狭い範囲の者を、戸主(こしゅ)と家族として一つのに属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度である。江戸時代に発達した、武士階級の家父長制的な家族制度を基にしている。
女性参政権の施行と日本国憲法の制定に合わせて、1947年昭和22年)には民法が大規模に改正され、親族編・相続編が根本的に変更された為に、家制度は廃止された。

と書かれています。このあたりの記述については、学問的な
意味をちゃんと捉えて書くべきなのでしょうが、ここでは外国の人にさらっと
説明する、という観点から無難にまとめることを考えます。

例えば、

「家」というのは武士の家族制度に基づく、伝統的家族制度である。ここでは
個人より「家」が優先されており、「家」を引き継ぐことが出来るものはひとりだけで
その者は「家」のメンバーに対して絶対的な権力を持っていた。

というのはどうでしょうか。

2012年8月12日日曜日

「お盆」を英語で説明すると(3)

ステップ2。
次に相手に伝えるメッセージを決めます。
(雑談のレベルだと、「メッセージ」は必要ありませんが
まとまった話ということであれば、当然そこには、聞き手に
伝えたいメッセージがあるはずです。)
「お盆」というテーマを通して何を伝えたいか、考えます。

例えばここでは
「お盆には、年に一度親戚が集まるが、これには
伝統的な日本の家のつながりを確認する意味がある」
(もう少し、平たく言うと、年に一度お盆に親戚が
集まることによって親戚の人達がいまどうしているか
確かめることができる、そしてその人達のことを
身近に感じることが出来る。)
というメッセージを選んだとします。

そこでステップ1でつくったリストを眺めて伝えたい
メッセージを伝えるのに使えるかどうか確認します。
もし不足しているようなら別の事実を探します。
また、リストを眺めているうちにメッセージ自体を
変更したくなるようななこともあるかもしれません
が、その時は躊躇せずに変えてしまうのが良いと
思います。

2012年8月11日土曜日

「お盆」を英語で説明すると(2)

ステップ1。
まずはお盆に関する情報をあつめる。
とりあえずインターネットやインタビュー等をとおして
お盆に関する情報をアトランダムに集めます。
この時にはある特定の主張をしている人たちの情報だけ
集めることのないよう、まんべんなく情報を集めるように
気をつけます。

お盆については、互いに対立するような解説もないので
(当たり前ですが)うまくまとまっているサイトをとりあえず見つけて
そこから素材を選び出します。

◯たとえば:
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A4%AA%CB%DF
には次のように書かれています。

先祖や亡くなった人たちが苦しむことなく、成仏してくれるようにと、子孫が、報恩や追善の供養をする期間を「お盆」と呼ぶ。特に、人が亡くなって49日法要が終わってから最初に迎えるお盆初盆(はつぼん)または新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)と呼び、家の門口や、お墓に白一色の提灯を立て、初盆以外のお墓には白と赤の色が入った提灯を立てるなど、特に厚く供養する風習がある。現在は、関西では8月の13日から16日までの4日間を指すことが多い(関東の一部などでは7月13日から16日までの4日間を指す場合もある)。
・・・
行事の流れ
迎え火
12日夕刻か13日午前中に精霊棚や仏壇のお飾りとお供えをすませ、13日の夕刻、縁側の軒先か精霊棚のところに吊るされた盆堤灯に火を灯す
家の門口や玄関で素焼の焙烙(ほうろく)にオガラと呼ばれる皮をはいだ麻の茎を折ってつみ重ね、火をつけて燃し、その場で合掌する。
これを迎え火といい、オガラを燃したその煙に乗って先祖の精霊が家に戻ってくるのを迎える。(おがらは最近ではスーパーなどでも手に入る。)
送り火
家に迎えた精霊を今度は送り火をたいてお墓に帰ってもらう。
迎え火をたいた同じ場所で16日(又は15日)オガラをつみ重ねて送り火をたく。
京都の夜を美しく彩る大文字焼はこの送り火の名残であるとされる。
☆地域によっては送り火ではなく、九州北部の「精霊流し」のような行事が行われる。
お盆休み
新暦8月15日前後は平日であってもかなりの人が休日になることが多く、学校の児童・生徒であれば大多数は夏休み期間となる。祖先の霊を祭る宗教行事だけではなく、国民的な休暇、民族移動の時期としての「お盆」としての側面があり、仏教的生活習慣を意識していない場合にはお盆(旧盆)は単なる夏休みになっているが、全国的に大多数の人が墓参りをするのが恒例である。

赤字は私がつけました。この文章をだらだらと書いても退屈な説明になるので、
概ね押さえておくべき情報はこのあたりという目星として付けました。

ではこの骨格となる情報を取り出してお行きましょう。

リスト1
先祖や亡くなった人たちが苦しむことなく、成仏してくれるようにと、子孫が、報恩や追善の供養をする期間
関西では8月の13日から16日までの4日間を指すことが多い
12日夕刻か13日午前中に盆堤灯に火を灯す迎え火
16日(又は15日)に送り火。京都の夜を美しく彩る大文字焼はこの送り火の名残。送り火
8月15日前後は平日であってもかなりの人が休日になる全国的に大多数の人が墓参りをする


2012年8月10日金曜日

「お盆」を英語で説明すると

先日「本校の紹介を英語でしないといけないので
学校のことを色々と教えて欲しい」という生徒が突然校長室に
やっていきたので、TaYo先生と二人で、半時間ほどでしょうか
学校の歴史を中心に色々と話しました。

私の方は用事があったので途中で失礼したのですが、データが
あってもそれをまとめるのにずいぶんと苦労している様子でした。
「話のまとめ方についても何かアドバイスしてあげられたら良か
ったな」と、今になって気になりだしました。

ところで私は大学では研究者の卵(大学院生)の指導も
しています。これに関しては、研究はもちろんですが、
研究費の申請書等の添削も重要で、私はかなりの時間を
この指導にあてています。いくら研究の内容が優れて
いてもそれが審査員に伝わらなければ研究費は獲得できない・・・
あたり前のことですが、このスキルの獲得については担当の教員任せ、
というのが実情のように思います。

考えてみると「本校の紹介を英語でする」というのはこういう能力を身
につける第一歩としてとてもよい課題という気がしてきました。

そこで「お盆について英語で説明する」とう課題を例にこれをどのように
まとめていくか説明してみます。

2012年8月7日火曜日

博士をとるとはどういうことか


博士号を取るとはどういうことか


ネット上で「博士をとるとはどういうことか」という
記事がありました。

http://www.tyzoh.jp/community/kkato/2010/08/16_123030.html

原文は The illustrated guide to a Ph.D. 

http://matt.might.net/articles/phd-school-in-pictures/

とてもうまく博士号を取ることの意義を説明してくれていますが、
同時に一昨年度本校で行われた京都大学の松本総長の講演の
中でも同じようなイラストが有ったのを思い出しました。

著作権等の問題があるのでそのイラストはここには出しませんが
大体の様子を説明すると

大学に入るときに大きな塊だった(学生の集団ですね)のが
次第に枝に分かれていって博士を取る頃にはいくつもの枝分かれを
繰り返した結果毛細血管のようになってしまい、すぐ近くの
人ともほとんど話が通じないくらい専門化してしまっている

様子が描かれていました。
これもまた現実だと思います。