2013年2月20日水曜日

理想的な問題

フィールズ賞受賞者の一人である、広中平祐先生が
受賞対象となった「特異点解消」が解決された時の
ことを、語っておられます(「生きること、学ぶこと」
集英社文庫)。

1963年にこの問題解決のためには、まだ大きな壁を
超えなければいけない状態だった先生は、日本数学会
招待され(当時広中先生はブランダイス大学
に所属されていました)、この話題について講演をする
ことにしました。講演の内容はまだ完成していない話題
ですので、問題の設定に色々と条件をつけて、対象を
絞った上で、この場合にはこんな結果がでるから、
本来の特異点解消にはきっと役立つだろう、という
話をされたそうです。

その話を聞いておられた、岡潔先生は講演終了後
真っ先に
「広中さん、そんな態度では、問題は解けません。
問題というのは具体的な形から、どんどん抽象化して
いて行って、最終的に理想的なかたちにすべきです。
理想的になれば問題は自然に解けます。」
とアドバイスをされたそうです。

その後アメリカに戻った広中先生は岡先生の
アドバイスに従って問題を理想的な形にしたところ、
最終的な解決をすることができたということです。


2013年2月14日木曜日

博士(3)

2001年文部科学省は「大学の構造改革の方針」(一般には
遠山プランと呼ばれています)という文書を発表しました。
この中で「トップ30の大学を世界水準に」という方針が掲げられ
これに応じる形で「21世紀COE」とう事業が始まりました。
(なお、21世紀COEはその後様々に名称、助成対象を変え
今に続いています。)このような競争的資金による活動の一環として
期限付きの研究員の採用などがあ行われ、オーバードクター
対策としてある程度の役目を果たしました。

より積極的な博士という人材の活用に関しても最近は新しい
動きが出てきています。例えば九州大学はマス・フォア・インダストリー
研究所を設立、大学院と連携して新技術の創出に貢献できる
人材の育成を目指しています。

2013年2月13日水曜日

博士(2)

1990年台、少子化の影響でやがて大学入学人口が減ることに
対応して多くの大学が「学生にとって魅力ある大学」に姿を
変えようとしました(実際に行われたのは「土木」を
「都市工学」に言い換える、といった看板の付け替えが
主だったのですが)。その中でも東京大学は、大学の
教官を全員大学院所属にするという手法で、大きな予算を
獲得することに成功しました。(当時は、大学院の教員か
学部の教員かで大学に配分される予算の計算方法が違ったので
このようなこのような手法が可能だったのです。なお、
現在では予算の配分の算出方法が変わったので、この手法
では予算増にはつながりません。)これをみた他の旧帝大は
我も我もと教員の所属を大学院に変え、これらの流れは
「大学院化」と呼ばれていました。

大学院化に伴い、大学院の定員充足というのが大きな課題に
なりました。大学院化した大学は必死に学生を集めて定員充足
をしたのでした。やがてこの多数の大学院生の就職が問題と
なるようになりました。博士はとったけれど就職先のない
いわゆるオーバードクター問題が大きな問題になってきたのです。

2013年2月12日火曜日

数学の力


最近他の研究者の人達と共同で取り組んでいる問題に大きな進展が
ありました(正確には共同研究者の方が解いてくださいました。)
ただ今回とても興味深かったのは、実感として数学の内容に
進展があった訳ではなく、ある事実をちょっと見方を変えた
(「一つのドーナッツを切り離す」か「切り裂くか」)だけ
でこの半年ほど悩んでいた問題が解決することがわかった、
という展開だったのです。そのあっけなさは、ほとんど
「ポカーン」とするほどで、私のこれまでの経験でも記憶の
ないものでした。

数学の力、という言い方が良いのかどうかわかりませんが、
「こんな問題の解け方もあるのだな」
という事をしみじみと感じています。

2013年2月8日金曜日

博士

中学,高校ときてその上には大学がある,というのは皆さんご存知
の通りですが,さらにその上には大学院という教育課程があります.
大学院は前期(修士)課程2年と後期(博士)課程3年に分かれていて
それぞれを修了すると修士,博士という名称(?)がもらえます.

伝統的には大学院は(大学の)研究者(つまり大学の教員ですね)
養成機関という意味合いが強かったのですが,今から約20年前
から,旧帝大(:「昔の帝国大学」という意味ですが,改めて
みるとすごい響きの言葉ですね.)を中心に「大学院化」と
いう動きがあって,大学院生の数が急に増えました.

それに伴って,大学院の性格も「研究者の養成機関」から
変化していかなければならない,はずだったのですが,この辺り
なかなか,うまく行っていない,というのが現状のようです.