2012年7月3日火曜日

数学講座台本:空間の向き(2)


今日はこのような性質の違いを数学的に表す方法について考えてみたいと思います。さて

数学者という人間は、物事を見るときに、なるべく単純化して見る

という性質があります。この炭素原子を考えるときも、どの場合もどうせ中心には炭素原子があるのですから、これは無いとして考えてもかまいません。その時に1,2,3,4の原子をどのようにおけるか、という問題を考えるに当たって正四面体の頂点のところにそれぞれの原子を置くと考えれば良いことがわかります。また正四面体をこのように置くとき1の原子はこの一番上の頂点にあるとしても構わないですよね。これを特別な点と考えてここから2,3,4の原子に向かって矢印が伸びているような図を考えてみてください。これがどうも鏡に写った世界を現す最も単純な構造のような気がします。

 
 






では空間の中の話をする前に話を少し簡単にして平面の世界で何が起こっているのか考えて見ましょう。平面の中の双子物質を特徴付けるのは2本の矢印のような気がします。こんな感じですね。こちらが1番の矢印、これが2番の矢印とするとこのように矢印を並べた場合とこのように並べた場合では並びが違いますよね。こちらからこちらに移ろうと思うと一度矢印が一直線の上に並んでしまいます。いいですか、これからこのようなことを、数字を使って表現したいと思います。



 








数字を使うための準備として更に簡単な世界の話をしましょう。平面より簡単な空間というと何ですか?直線ですよね。直線の上の矢印を考えてください。これは右向きの矢印、これは左向きの矢印です。右向きの矢印をこのように数直線の上に描いて、その長さが1のときはこの矢印に1という数字を、長さが2のときは2という数字を当てはめてやります。では左向きの矢印はどうしましょうか。ここで左向きの長さ1の矢印には-1という数字を、左向きで長さ2の矢印には -2という数字を対応させてやります。この数字を、矢印を四角で囲んでこういう風に書いてやることにしましょう。この四角で表される数はどんなものかちょっと絵を描いて考えて見ましょう。例えば右向き長さ1の矢印の長さがだんだん短くなって長さ0になってそれから左向きの矢印に変わってだんだん左に伸びた矢印に変わってゆく様子を考えてください。このときにこの四角で囲んだ矢印で表される数字は最初1でだんだん小さくなって0になってマイナスの数になってだんだん小さくなってゆきます。この絵からこの数字は1次元の矢印の「向きの度合い」を表していると行ってよいことが分かるでしょう。