2012年8月31日金曜日

Thurston と数学

Thurstonは大学時代は特に目立ったという所はなく、
またその学位論文も、非常に良い結果ではあるけれど
現代数学の方向性に大きな影響を与えるというレベルの物
では有りませんでした。

現代数学の先頭を切る多くのアメリカ数学者はロシア、
東欧、中国等から移ってきた人々ですが、その中では
珍しく、Turstonはアメリカ育ち(子供の頃はオランダに
いたという話は聞いた覚えは有りますが)です。

ただ、その才能ははっきりと認められていたようで、
カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン大学
等超一流校からオファーが有ったそうで、結局、彼は
プリンストン大学に務めることになります。
プリンストン大学ではまず、学位論文で取り扱った
「葉層構造」と呼ばれる分野で未可決問題
(オイラー標数0の多様体上の葉層構造の存在、
ゴドビィヨン・ベイ不変量の連続性等)を立て続けに
解決します。
もちろんこれは数学にとって良いことなのですが、
この後、多くの葉層構造の研究者が「もうこの分野には
研究すべき問題が残っていない」と感じて、この分野から
さってしまいます。

このことに心を痛めたThurstonは葉層構造の次に
取り組んだ「三次元双曲幾何学」では、明確に
何か問題を解決する、という形ではなく、その分野
に色々な花が咲くことを目指して、大地を耕すような
研究を進める様になります。