三次元空間内の球面(位相幾何学的な球面で自由に伸ばしたり
縮めたりできるが、穴をあけたり、切ったりつないだりする
ことは出来ない)を
自分自身と交わることを許す、ただし
とんがったところができてはいけない(数学的には「正則
ホモトピー」という言葉で定式化されます)
という条件のもとで、裏返すことができるか?
という問題は、1957年に数学者Smaleによって、その答えが
肯定的である(つまり、そのような変形で裏返すことができる)
ことが示されています。但しSmaleの結果は具体的に、どのように
変形すれば良いのかを示してはくれませんでした。
======================
現代数学では、このように、「理論的に解けることは分かっているが
その答えが具体的には求まらない」ということが、よく有ります。
ある意味、このような「存在定理を数学的な結果として認める」、
という態度が現代数学を豊かなものにした、と言っても良いと
思います。
======================
これに対して球面の裏返しの仕方を具体的に与えたのが、
数学者のシャピロとモランでした。
その後Thurstonも球面の裏返しに取り組み新しい方法を考案しています。
その内容についてはgeometry center で映像化され、公開されています。
http://www.youtube.com/watch?v=wO61D9x6lNY
最近、数学者の平澤さん達はこの問題に別の観点(球面の
”影”を見ながら裏返す・・・)から取り組んでおられます。
以前、こちらに来ていただいて詳細な内容をお聞きしました。
内容はあまり憶えていなのですが、細部までちゃんと見ると
なかなか膨大な内容で有ることはわかりました。