Thurston自身は子どもがおもちゃで遊ぶことを楽しむように
三次元多様体の研究を楽しむことが第一義であってその結果
を発表すること自体に興味はなかったのでしょう。しかし彼
の示した方向は数学界の指示を得て、2002年にはロシアの数学者
ペレルマンにより幾何化予想はついに解決されます。
(ペレルマンの仕事は、間違いなく超一流のものですが、
私にはThurstonの枠組みの中、という感情がついてまわって
しまいます。)
1990年頃から彼自身は自身の結果やそれまでに知られている
幾何学の結果をコンピュータグラフィック等を用いて一般の
人々に分かりやすく伝える、という仕事に取り組むようになり
ます。
http://www.youtube.com/watch?v=AGLPbSMxSUM
http://www.youtube.com/watch?v=MKwAS5omW_w
また子供向けの数学の講座なども盛んに行うようになります。
2010年3月にはIssey Miyakeのファッションショー(パリコレ)
に協力しています。(「ポアンカレオデッセイ」)この時の
ショーの様子やThurstonのインタビューが
http://www.youtube.com/watch?v=lMneAQsAZUA&feature=relmfu
http://www.youtube.com/watch?v=eQAuSGvQjN0&feature=youtu.be
で見ることが出来ます。
一般人とのギャップが多くすぎるからでしょうが、天才と呼ばれる
人たちの行き着く先というのは一般的に言うと、あまり幸福なもの
ではないような気がします。Thurstonはそのような並の天才とは
違った境地に至ったように見えます。