2019年12月29日日曜日

サピエンス全史的視点からみたSociety 5.0の意義について(3)


幸福に関するガラスの天井

さてハラリはサピエンス全史で人類の過去について語ったのですが2018年(日本での発刊)にその続編であるホモデウスを発表,ここで人類の未来について論じています.

その中で彼はまず科学の発達は,これまで人間が戦ってきた三大苦難(飢餓,疫病,戦争)を事実上解決してしまった,と述べています.そして次に人類が目指すべき課題としては「幸福の追求」が挙げられますが,これに関しては人類はどうすればこれが実現できるのかわからなくなっているようにみえます.実際のところ,経済的により発展した先進国の人々は必ずしも発展途上国よりも幸福感を感じているとは限らないというデータが出ています(*).現実的には人間至上主義は自由主義との折り合いがつかなくなっていると言え,人類が進むべき方向性は一層不明確になってきています.

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(*)国連による世界での幸福度の調査報告については,例えば World Happiness Report 2019
があります.なお,ここで用いられている幸福度の指標は次の3つです.

(1) 主観的ウェルビーイング:想像できる最高の生活(life)を10点,最低の生活を0点とした時,あなたの現在の生活を点数化すると何点か?
(2) ポジティブな感情:次のいずれも,「はい」を1点,「いいえ」を0点とし,平均点を指標とする.1) 昨日,たくさん笑ったか(smile or laugh)? 2) 昨日の多くの時間を愉快だ(enjoyment)と感じていたか?
(3) ネガティブな感情:次のいずれも,「はい」を1点,「いいえ」を0点とし,平均点を指標とする.1) 昨日の多くの時間,憂い嘆いていたか(worry)? 2) 昨日の多くの時間,悲しんでいたか(sadness)? 3) 昨日の多くの時間,怒っていたか(anger)?

上の3つの指標については次のページに書かれていたものです.

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このことはブッダも問題としており(*)快感の追求は実は苦しみのもとに他ならない,渇望に人生の主導権を奪われないようにする必要がある,と述べています.


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(*)「ホモデウス」ユヴァル・ノア・ハラリ,第1章 幸福に対する権利
ここでいうブッダの教えは,いわゆる仏教の教えのことではなく,ブッダが編み出した自分の心を知るための方法(瞑想法)を指しています.
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