科学革命の始まりと帝国主義・資本主義との蜜月時代
ハラリは15世紀に「科学革命」が起きたと言っています。
これはどういうことかと言うと「この世にはわからないことがたくさんある,そしてそれについて知ることは意味がある」という価値観を多くの人が共有できるようになったこと,と表現できます.それまでの
・神様はすべてを知っている,
・神の知らないことは重要でない,
という制限からの大きな飛躍となりました.この世の中には我々の知らないことがたくさんあって,それについて調べることにより我々の知識限りなく増大していくのだ,という信念が生まれたのだともいえるでしょう
このような革命は当初は航海技術など限られた中での有用性にとどまっていましたが、コロンブスのアメリカ大陸の発見(コロンブスが”発見”するずっと前からアメリカ大陸は存在していたのでこの表現は奇妙なのですが)をきっかけとして,(ヨーロッパの人々にとって)新しい世界がどんどん広がっていったのです.
王や貴族たちはこれらの新世界から財宝を略奪,そして征服しそこに住んでいる人々を奴隷として酷使することにより,それまで限られていた資源を増やせることに気が付きました.彼らは積極的に植民地開拓を始めますが,やがてそのの支配にあたっては(地理学や博物学を始めとする様々な)科学の力が非常に有力であることに気が付き,積極的に科学者を援助・活用するようになります(*).
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(*)帝国主義と科学者の関係の例
ナポレオンのエジプト遠征
1798年、ナポレオンがイギリスに打撃を与えるために敢行した遠征で最終的にイギリス軍に敗れました。ナポレオンは遠征にあたって、多くの学者を同行させました。彼らはロゼッタ=ストーンの発見という大成果をあげています。なお,このロゼッタ=ストーンが決め手となり,古代エジプトの神聖文字(ヒエログリフ)が解読されました.
ダーウィンのビーグル号航海
1831年イギリス海軍のビーグル号は南米の調査のために5年間の航海に出発しましたがこの船に当時ケンブリッジ大学を卒業したばかりのチャールズ・ダーウィンが乗船していました.ダーウィンはこの公開中に立ち寄った各地の記録を残しました.特にガラパゴス諸島滞在時の資料は後に「種の起源」につながったのです.
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このような植民地開拓に多くの資金をつぎ込むことは,大きな富を生み出すこともあれば,全く成果が上がらないということもある,ある意味”賭け”のようなものでした.そこでもっと安全な,経済発展の方法をということで近代に入って「信用」に基づく経済制度が始まりました.ここでいう信用とは「私達の将来の資力は現在の資力よりも必ず大きくなる」という信念のことで,この”神話”に支えられた制度は「資本主義」と呼ばれています.この神話は、科学技術の絶え間ない発達により実際にうまく働きました(*).やがて18世紀には「産業革命」(Society 3.0)が起こりました.これにより,石炭を運動エネルギーに変える,といった具合にエネルギーを変換する技術が生まれたのです.より大きなエネルギーを利用できる様になったおかげでさらに進んだ科学技術の開発ができるようになる・・・という正のスパイラルが生じます.これを契機に人間社会はこれまで経験したことのない速さで発展していくことになり,それは現在につながっています.
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(*)資本主義の勝利
こでは話の流れを極端に単純化しましたが,サピエンス全史では資本主義が21世紀の基盤になるまでには単純な道筋ではありませんでした.ハラリは「ホモ・デウス」の中で資本主義が20世紀に起きた他2つの新しい宗教(「ナチズム」,「共産主義」)を打ち破り,21世紀の人類の基盤となったと述べています.
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さて資本主義・共産主義とナチズムとの争いであった第2次世界対戦が集結した後の1960年代アメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)の間で、冷戦(核兵器の発達により大国間の直接的な戦闘が不可能となった状態)が起こります.両国は核兵器ミサイルを配備しボタン一つでいつ核戦争が始まってもおかしくない状態に陥ります.この時代,アメリカは核攻撃を受けても機能が停止しないクモの巣状にはられたネットワーク作る計画を立てます.1966年ARPANETに始まり順調に拡大したこのネットワークはやがてインターネットと呼ばれるようになります.1990年代に入ってインターネットは民間に開放され,それまで国家・マスコミが独占していた情報に誰でもがアクセスできるようになりました.GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)に代表されるIT企業が国家も凌ぐような権力を獲得,ここに情報社会(Society 4.0)が実現したのです.そして今,テクノロジーの進歩は人間の想像力を遥かに超えるスピードで進み,いつ私達のコントロール下から飛び出しても不思議では無い状況にあります.(*)
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(*)例えば2018年には中国で遺伝子操作ベビーが誕生しています.これは倫理的に大きな問題があると,指摘されていたにも関わらず,一人の科学者が秘密のうちに実施したものです.
またスエーデンでは体内にマイクロチップを埋め込む人々が増えています.このチップはアクセスキーやウォレット等の機能をもたせることができ,手をかざすだけで,会社のゲートを抜けたり,店の支払いができるようになります.
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