2014年1月23日木曜日

数学の研究と数学者

2012年から2013年にかけて、二人の数学者と共同で、ある
数学の問題に取り組んでいました。今回はこの仕事の過程で経
験したことをお話してみようと思います(数学の内容は全く関
係ありませんのでご安心ください)。

2012年の10月頃のことですが当時半年ほどかけて行っていた
共同研究の結果が論文にまとまり、それをarXiveにアップロー
ドしました。(arXiveというのは数学等の研究結果を公開する
ためのウェブサイトで、現在では最新の研究を知るための重要
な情報源になっています。)同時に、この方面の研究者である
中国のQ先生にもeメールで論文をお送りしました。するとQ先生
から直ちに彼の論文が送られて来たのですが、その中の主結果
は私達の結果を含むものでした。更に追い打ちをかけるように、
Q先生の論文の共著者の一人のZさんからは、我々
の証明の不備を指摘する連絡が届いたのです。その内容を検討
したところ確かにその指摘は正しいものであることが明らかに
なりました。

時として、学問的な成果の先陣争いは非情なものがあります。
いくら同じ結果を出していても、たった一日その発表が遅れた
ために、その結果は最初に公開した人のものとして参照される
というのは十分にありえることです。ましてや我々の場合は、
その証明に不備があったのですから、この論文は、もはや生命
を絶たれた、と言っても言い過ぎではなかったと思います。