ポアンカレとクラインが取り扱った問題に関連した話題について
少し紹介したいと思います.このお話は2次元空間,すなわち曲面
の局所的な形に関するものです.2次元空間というのは例えばこの
ボールの表面,数学の世界では曲面といいますが,のようどこを
とっても2次元的な広がりを持った空間のことです.曲面の例と
しては球面のほかこのようのドーナッツ面,数学者はトーラスと
呼んでいますので,ここでもそれに従ってトーラスと呼ぶことに
します.またこのような二人乗りの浮き袋,これは種数2の曲面
と呼ばれます,も曲面の1つです.
まずこの球面について考えて見ましょう.この球面の上ではどの点
をとってもその近くの様子は全く同じになっています.(もちろん
球面でもわざと形をゆがめてやると対象性はなくなってしまいます.)
つまりこの形には非常に高い対象性があるといえますこれに対して
このトーラスはこのようなどこをとってもおなじみ見えるような形
にはなっていません.例えばこのあたりの点とこのあたりの点では
その近くでの曲がり方が本質的に異なっています.このようにこの
形では場所によってその近くの様子は変わってしまいます.では
トーラスはその上のすべての点の近くの様子が全く同じになって
しまうような形にすることは出来ないのでしょうか?
この問題を考える準備としてまずトーラスをはさみで切り開く事
を考えましょう.トーラスをまずこの線で切り開くとこのような
円柱面になります.さらにこの円柱面をこの線にそって切り開く
とこのような正方形がでてきます.つまりトーラスはこの正方形
のこの辺とこの辺をこのように張り合わせてできるということが
わかります.ところでこの正方形はこのように机の上においてやる
とぴたっと平面の上に乗っています.さてこのように机の上においた
正方形を見る限りその中の,つまり辺や頂点以外の,どの点をとって
もその点の近くの様子は全く同じに見えます.ではこの辺のところで
はどうでしょうか?これはこの図形でみるとふちですが,ものとトー
ラスの上ではこの辺とこのようにつながっていてやはり,その近くは
平面であることがわかります.ではこの頂点の近くではどうでしょう
か?この近くはこのようにこのあたりとこのあたりとこのあたりが
このようにつながってやはりその近くでは平面になっていることが
わかります.このようにしてトーラスの上にも球面と同じように
すべての点の近くが同じように見える形が入れられることがわかり
ます.(ただしこの形は球面のように私たちが三次元空間の中でみる
ことはできなきことが知られています.)