ウィンの研究から8年ほど後、心理学者のフェイ・フーとエリザベス・スペルクは赤ちゃんが数のざっくり感覚(詳しくは後述)を持っているということを強く示唆する次のような実験を行いました(参考文献1, 2)。
この実験では平均月齢6ヶ月の赤ちゃん16人に、白い背景に8個(または16個)の黒点を描いたディスプレイを次々と切り替えて見飽きるまで見せます。8個(または16個)の点は見せる度に大きさ、配置、明るさなど変わります。やがて赤ちゃんは飽きてきてディスプレイ以外のものに関心を持つようになります。このとき8個のディスプレイを見慣れた後に16個の黒点のディスプレイ(16個のディスプレイを見慣れた後に8個のディスプレイを)を見せます。すると赤ちゃんは見慣れたのとは違う数の点のディスプレイを見せられるとそれを2秒余計に見続けたのでした。つまり赤ちゃんは8個と16個の違いを見分けることができたのです。
次にフーとスペルクは同様の方法で赤ちゃんが8個と12個の違いを見分けられるかどうかを試しましたが、今回は見える点の数が変わっても赤ちゃんはそのことに気が付かなかったのです。このような実験がさまざまな研究者によってなされた結果、赤ちゃんは大きな数であってもその大きさの比率が1対2より大きい場合は違う数であることがわかる、ということが明らかになりました。大きな数であっても赤ちゃんはをざっくりとした違いは区別できるのです。
参考文献
1. F Xu, E S Spelke, Large number discrimination in 6-month-old infants, Cognition 2000 Jan 10;74(1):B1-B11.
doi: 10.1016/s0010-0277(99)00066-9.
2. ケイレブ・エヴェレット , 数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた 単行本 – 2021/5/8 屋代 通子 (翻訳)