皆さんおはようございます。今日ここに皆さんのの元気なお姿をまた見ることができてとても嬉しく思います。
ところで今日皆さんは登校する時に正門の前のところ、運動場と外の道の間にたくさんの桜が咲いているのを見かけたことと思います。今日はこれからこの桜についてのお話をしたいと思います。
本校のホームページには「本校のあゆみ」というページがありますがそれを見ると
昭和12年(1937年)5月11日にヘレンケラー女史来校
と書かれているのを皆さんは知っているでしょうか。
ヘレンは今から1880年にアメリカアラバマ州の名家に生まれました。とても元気で頭の良い子で両親には大変可愛がられましたが、1歳7ヶ月の時に突然高熱を出しました。家族の必死の看護により一命は取り留めたものの、この病気が原因でヘレンは耳は聞こえなくなり、目も見えなくなってしまいました。
目も見えない、耳も聞こえないヘレンでしたが、彼女は匂いを嗅ぐ力など他の感覚は大変ん優れていて、簡単なことなら身振りなどで自分の気持ちを伝えることができました。しかい六歳頃になると、自分の思い通りにならない時にはすぐに癇癪を起こすようになっていました。きっとヘレンの頭は、もっとたくさんのことを知りたい、と思っていたのに外のことが見えない、聞こえないということにイライラしていたのだと思います。
その頃はヘレンのような子供をどう教育すれば良いか誰もわかりませんでした。そんな真っ暗闇の世界に住んでいたヘレンでしたが七歳になる少し前の1887年3月3日に家庭教師としてアン・サリヴァン先生がやってきたのです。サリヴァン先生はヘレンに指の形でアルファベットを綴りそれを手の平で感じることで話をする指文字を教えました。頭の良いヘレンはたくさんの言葉を憶えていきました。
ただここから話ができるようになるまでにはまだまだ知らなければならないことがありました。例えば、赤ちゃんは普通はお兄さんやおねんさんや大人の話しているのを耳で聞いて言葉を習いますが、耳の聞こえないヘレンはそのようにして言葉を学ぶことができません。
サリヴァン先生は、ヘレンを家の外に連れ出してなるべく自然に触れさせるようにしました。ある日、今からひよこが出てきそうな鶏の卵をヘレンに持たせてひよこが卵から出てくる様子を手の中で感じさせてあげました。そしてそれをヘレンが感じた瞬間に「生まれる」という言葉を教えたのです。
後になってサリヴァン先生は
「実際に触ったり感じたりすることが大切なのです。経験すれば、憶えるのは難しくないのです」
と言っています。そんなふうにしてぐんぐん力をつけたヘレンは十歳の時には大人もびっくりするような立派な手紙を書けるまでになりました。
さて今は春です。冬の間じっと縮こまっていた植物や動物が目を覚ましてぐんぐんと育っていきます。学校の中に限らず、皆さんの身の回りにある植物や動物、天候さえもぐんぐん変わっていくのが観察できるでしょう。ヘレンがしたのと同じような勉強をするのに一番いい季節です。皆さんも身の回りの世界がどんどん変わっていく様子を観察して朝の会であはなししてほしいと思います。そしておはなしを聞いた人たちはつけたし、おたずねを繰り返しながらもっともっとたくさん勉強をしてもらえたらいいなと思います。
さてヘレンとサリヴァン先生ですが、その後は名門のハーバード大学に合格、哲学と文学を勉強し卒業後は世界中を回って目の不自由な人のための活動を行いました。サリヴァン先生もヘレンに付き添ってふたりはずっと一緒にいましたがやがてサリヴァン先生も年老いていきます。すっかり体も弱ってしまいもう一緒に旅もできなくなってしまいました「ぜひ日本に来てください」というお願いを受け取ったもののサリヴァン先生のことが心配なヘレンには日本に行く決心がつきませんでした。
そして1936年の秋10月20日サリヴァン先生はついに亡くなります。周りの人は悲しみのあまりヘレンの心は折れてしまうのではないか、もう何もできなくなるのではないか、と心配しました。しかしサリヴァン先生はヘレンに
「遠い日本から、目の見えない人のために来てくれないかと頼まれたのなら喜んでいってあげなさい」
と言い残したのです。その言葉に励まされてヘレンは翌年1937年4月15日、ちょうど今頃ですね、に日本に到着し翌日は天皇陛下や偉い政治家の人たちに会って、日本の目の見えない人たちを助けてくれるようにおねがいしています。その後3ヶ月半に渡って日本全国を巡って目の見えない人たちのために講演を行いました。
その時のニュースでヘレンが桜の花の匂いを嗅いでいる様子が写っていす。(そのニュースの写真を校長室の前に展示しておきますね。)奈良には5月10日から13日に滞在、5月10日に奈良県立盲唖学校で講演を行いその翌日本校を訪問されたのでした。
皆さん、よかったらこれから桜の花のそばを通るときに耳を塞いで目を瞑って「ヘレンはどんな香りを嗅いだのかな」と思いながら桜の花の香りを感じてみてください。もしかしたら全然違った桜の花を感じることができるかも知れませんよ。