サンテグジュペリの「星の王子様」の、第21節、王子様と
キツネとの会話からなるこの節はこの作品の中のハイライト
の一つと言ってよいでしょう。
王子様は言います
- Viens jouer avec
moi, lui proposa le petit prince. Je suis tellement triste... 「ここに来て、一緒に遊ぼうよ。」「僕、とても悲しいんだ。」
これにキツネは応えます。
- Je ne puis pas jouer
avec toi, dit le renard. Je ne suis pas apprivoisé.
「きみとは遊べないよ。」「僕はapprivoiséされていないもの。」
この「apprivoisé(原型はapprivoiser)」という単語ですが、
内藤濯による訳(岩波書店)では「飼いならされている」とな
っています。「僕は(君に)飼いならされていないから(一緒
に遊べない)」とう訳ですね。(ちなみに英語訳では「tamed」
となっているようです。飼いならすというより、「慣らされて
いる」という感じでしょうか。)
キツネは言います
On ne connaît que les choses
que l'on apprivoise
人はapprivoiserしたものしか、わかることはできないんだ。
そして、次のようにも言っています。
Tu
deviens responsable pour toujours de ce que tu as apprivoisé.
いつだって、君は、君がapprivoiséしたものに責任を持たなくちゃいけないんだ。
内藤氏による翻訳ではこのapprivoiséは「めんどうをみた」とな
っていて、先ほどの「飼いならされている」とは違った単語のよ
うに見えます。ここはやはり先ほどのapprivoiséと同じ訳にしな
ければ、原文の香りが生かせないのではないでしょうか。